とある証券会社に勤務する営業職員の川西さん(仮称)32歳。日々営業目標をクリアするため、奔走する毎日。会社は長期休暇制度や臨時休暇制度、育児休暇は勿論、あらゆる制度設計は用意されており、本人も休暇を取得することはできる筈なのですが。。。
目標という罠
川西さんは、係長という立場で毎日、個人宅への訪問営業を行っていた。勤勉に業務をこなし、後輩からは一目置かれる存在となっていたが、期待値が上がれば上がる程、毎月言い渡される『目標』と言う名の『ノルマ』が他の営業マンに比べ大きくなっていった。もちろん、高い目標をクリアすれば、次の昇進に近づくのではあるが、毎月平均して目標をクリアできる程器用な性格でもなく、目標未達で上司から怒鳴られることもしばしばあった。
休める権利を行使できない環境
会社のルール上、半年に一度は数日の休みを任意の日取りに取得することができる。しかし、ここで問題なのが、『業務に支障のないタイミングで取得』という但し書きだ。川西さんはいつもこの但し書きに縛られ、不本意なタイミングでの休暇取得しかできない、公では休暇という建前でも隠れて出勤して業務を行なっていた時期も有ったくらいだった。
休ませられない管理職
川西さんの上司は、当然部全体の目標が川西さんの所属する課におりてきて、その目標を管理している。当然、昇進も掛かっていて、それなりの実績を残している川西さんには期待している。その反面、実績が伴わない月は川西さんに辛く当たり、遂には『目標も達成していないのに、休むつもりか!』などと怒号を浴びせることすらあった。川西さんは休暇を申し出ることすら億劫になってしまい、ついには最低限休む権利の休暇も放棄してしまったり、隠れて出勤する様なことすら行なってしまったのです。