【事例分析】ダメなチームをデキるチームにする必勝パターン

ダメなチームをデキるチームに変えるにはマネジャーはどのような手を打てばよいのでしょうか。ある郵便局(民営化前)での取り組みがその答えを提供してくれています。実際の事例ですので、説得力があります。

1.郵便局での事例要約

父親に聞いた管理職として「ダメなチームをデキるチームにする必勝パターン」

こちらの記事は、郵政民営化前の保険を販売するダメダメ営業チームをデキる営業チームにした話です。

郵政民営化前の郵便局は、なにしろ公務員ですので、成績が上がろうが上がるまいがあまり評価に影響しません。なので、まあ働かない奴は働かないわけです。マネジメント難易度はAランクといったところでしょうか。

記事をまとめるとこんな感じです。

・ある局にダメチームがあり、そこにあるマネジャーが派遣される。
・そのマネジャーはダメチームの中心的人物に協力を取り付ける。
・他メンバーを交え、中心的人物に改善のファシリテーションをやってもらう。→実行。
・同時に一番ダメな営業をマネジャーが徹底的にフォローする。
・少しでも成績が上がったらべた褒めする。
・すごいチームになった。

2.自分にないものは借りる

マネジメントは与えられた資源で求められる成果を上げることが大きな目的の一つです。

上のマネジャーはもともと「貯金」から異動してきており、「保険」は詳しくありませんでした。また新任ですので人間関係も構築できておりません。さらに職場の改善点などは把握できていません。

そこで職場の「中心的人物」に協力を取り付けます。職場の「中心的人物」は、マネジャーが持っていない上の3つの資源を持っていました。

  1. 「保険」の知識
  2. 職場の人間関係(影響力)
  3. 職場の改善点の情報

これらの資源を「借り上げる」ことで、成果を出すことができたわけです。

もし仮に、各メンバーと絆を作りながら影響力を発揮しようとすれば、多くの時間や労力を費やさなければならなかったでしょう。保険の知識についても勉強しなければなりません。改善点も自分で見つけなければならなくなるだろうし、それを指摘すると各メンバーは自分事としてとらえられる反発するかもしれません。

これらの資源を持っている人を見つけてお願いするのは、自分が一から作り上げるよりずっと早いのです。

一人に集中的に働きかけることで全体に良い影響を与えるというパターンが見えてきます。

3.心の働きをうまく利用する

このケースのマネジャーがすばらしいのは、人の欲求をよく理解してそれをマネジメントに活用しているところです。

ざっと見てみると次のような気持ちを利用しています。

  1. 一対一で特別に頼られたら頑張りたくなる気持ち。
  2. 本当はいろいろ言いたい気持ち。
  3. ビリにはなりたくないという気持ち。

中心的人物にお願いするのはa.b.の心理を巧みに活用しています。

次に、一人のダメ営業マンを徹底的に支援する方法はc.の心理を巧みに利用します。

職場でビリだとレッテルを貼られていた営業マンが、マネジャーの支援によってどんどん力をつけてくると、ほかのメンバーは危機感を感じます。「今まで自分が馬鹿にしていた位置に自分が収まってしまうかもしれない」という危機感です。

評価が悪くなるとか、給料が下がるとかいう危機感ではなくて、自分が馬鹿にしていた存在に自分がなってしまうという危機感は、人を強く動かすようです。誰しも自分がおちこぼれだと思いたくないものです。

ここでも、たった一人に重点的に働きかけることによって全体に良い影響を与えています。レバレッジを利かせているわけです。

この観点からすると、マネジャーが職場の好業績者とつるんでダメ営業をこき下ろすのは、賢いとはいえません。

4.まとめ

自分が持っていない資源は、持っている人に頼むこと。
自分で一から作り出そうとしないこと。
人の心理、欲求を深く理解し、一人に重点的に働きかけて全体に影響を波及させること。
少しでも成果が出たら褒めて、正のフィードバックを働かせること。
人に対する愛があること。

以上が、超効率的なマネジメントのコツなのではないでしょうか。

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